通院の記録


肥満 1
   
− チェリー、いつの間に?−


34g、
それはないでしょう!?
 

え? ボク、太ってましたか?




2006年11月4日(土)  健康診断


1年半ぶりの健康診断。このとき、チェリーは1歳9箇月。
チェリーは元気いっぱいであったが、一点、心配だったのは、くちばしが伸びては欠けること。

小鳥のくちばしに異変が起きると、その後、ろくな事にならないことを子供の頃から見て感じていた。先代の桜文鳥も、最初の異変はくちばしに起きた。診てもらった獣医さんに「何でもありません」と断言されて、そのままにしてしまい、結局は半年後、取り返しのつかないことになってしまった。苦い経験を二度と繰り返したくはなかった。

動物病院の看板に“小鳥”とあっても、当てにならないことを身にしみて感じていた。本当なら、鳥専門病院に連れて行くのが一番だろう。しかし、遠いのだ。元気な鳥は連れて行けても、緊急時は間に合わないかもしれないし、鳥の体力がもたない場合もあるかもしれない。もう少し近場で診てもらえる病院を探しておこうという思惑もあり、インターネットで“鳥を診られる病院”として、リストアップされている病院に電話をかけ、感触を確かめてから連れて行った。何かあれば、その時点で、専門病院に変更すればいいと思った。




上のくちばしが伸びています
そして診察。


先行して実施したフンの検査でヤッピーにメガバクテリアがみつかり、チェリーを診ていただく頃には、私はもう涙目になっていた。

くちばしの事は受付のとき説明していたが、
「栄養障害でビタミンAが吸収されないためでしょう」とのこと。
先生は、さほど心配する事でもない、といった態度だ。

文鳥の餌にはかなり気を配っていた。“栄養障害”なんて言われるのは心外であったが、つっこむ気力がない。

体重は、電子レンジで使う冷凍保存用の半透明の容器(ジップロック)に入れられて測定。何だか、チェリーちゃんがお料理になってしまいそうな不思議な光景だ。

「34g・・・えっ?」

と言って、先生はチェリーを取り出し、秤をテアー仕直して、もう一度載せる。
体重は、やっぱり34gだ。

嘘だろう? 飼い主も仰天した。だって、チェリーちゃんは31gのはず、いや一瞬32gのときもあったけど・・・。

文鳥の平均的な体重範囲は23〜28gと言われているが、体格の良い子ならば31gは、まあ許容範囲かなと思っていた。しかし、今、34gなのだ。

「これは肥満ですね」 はっきりと宣告された。

先生は、チェリーのお腹の羽毛をかき分けて、ぺったりと付いている黄色い脂肪を見せてくださった。
ショックの上にまたショックが重なる。肥満なんて、完全に飼い主の落ち度ではないか!


「餌、減らした方がいいですかね?」と、聞いてみる。

「減らしたって、どうせこの子が先に食べちゃうでしょ。」
(先生、何故か、なげやり)

ヤッピーとチェリーは同居していた。やんちゃなチェリーを包容力のあるヤッピーが寛大に受け止めている、2羽はそんな関係だ。確かに、量を減らしても、その分ヤッピーが食べられなくなるだけだ。

「じゃ、ペレットやめた方がいいですか?」 (我ながら意地の悪い質問だ)

「かもしれないですね。」と先生。

結局、この日はチェリーの肥満については、何のアドバイスも受けられないまま終了した。
ヤッピーはメガバクテリア、オカメインコのサブレは粉っぽいからビタミン不足、そして、チェリーはビタミンAの不足?で、全員、ビタミン剤(ネクトンBIO)をやるように言われた。
なんとなく、釈然としない。ビタミン剤って、そんなものか?




最後に体重を測ったのはいつだっただろう?
思い出せないくらいの間、測ってなかったのだ。しかも、測ってもちゃんと記録していなかった。ウサギの体重は、頻繁に記録されていたが、いくら探しても、鳥たちの体重はどこにも書いてない。飼育ノート自体、気まぐれにしか書いてないのだ。

「チェリーちゃん、ゴメン。私がいい加減だから、こんなに太っちゃって・・・」
チェリーに詫びたが、本人は放鳥タイムのおやつを嬉しそうにぱくついている。


 当時の食餌

 皮付き餌(
青米・オーツ麦・キヌアを混合

 ペレット(
ズプリームフィンチ用、脂肪分4%

 〔食べる割合 皮付き餌:ペレット=3:2〕

 ボレー粉(塩土の粒を若干量混合)

 青菜(小松菜、チンゲンサイ)

おやつといっても、妙なものは与えていない。器が違うだけで、中身はいつも食べている皮付き餌かペレットだ。たまに、水耕栽培した豆苗も出されることもある。

しかし、どうして太ってしまったのか、まったく見当がつかない。
チェリーがトリコモナスをわずらった1年半前、鳥専門病院で食餌指導を受けていた。“与えてはいけない”と言われたものは、決して与えなかった。青菜も大好きで、毎日、2羽できそって食べている。朝晩2回の放鳥タイムもあり、運動不足は考えられない。仮に、もっと早く肥満傾向に気付いていたとして、何か対策がとれたのだろうか?

どうすればいいのか、さっぱり分からなかった。ペレットをやめるのは、やっぱり違う気がしたので、そのまま与えることにした。シード類の成分表とにらめっこして、脂肪やカロリーの高いものを探した。どれも、どっこいどっこいだが、若干高めかと思ったオーツ麦、栄養的に意味のなさそうな青米を、とりあえずはやめてみることにした。

それにしても、食餌指導を受けた後に肥満になるのも皮肉な話だ。もとの病院へ戻って「これ、どーよ?」と聞いてみたい気もした。でも、誰のせいでもない、肥満は飼い主の落ち度でしかない。マニュアルどおりやっていればOKなんて事は、生体相手には通用しないのだ。

「チェリーちゃん、その脂肪、もらってあげる!」
飼い主は、健康診断で体重はいつもB(マイナスの方)がつく。「ペットの体型は飼い主に似るっていうけど・・・おかしいなぁ」と茶化してみたりしたが、どうしたものやら途方にくれるばかりであった。




2006年11月18日(土) 再診



先生に、夜は遅くまで起きていないか聞かれて、ドキッとした。

私の帰りは遅い。
早くて19時、遅い日は21時、22時の日もある。

夜の放鳥タイムはそれからだ。
文鳥たちが就寝するのは、22時〜23時くらい、考えてみれば、ひどい生活だ。


巣作りはやめられません

「ホルモン異常かもしれませんから、夜は19時までに寝かせてください。つぼ巣もダメです。放鳥時は隙間にもぐりこませないように注意してください。」


先生は、きっぱりとおっしゃる。
早寝させて、巣作り行動をさせないようにということだ。

私には、どちらも守れない。その時間に寝かせるということは、帰宅しても文鳥たちをそのまま寝かせてしまうという事になる。どんなに遅くても、文鳥たちは飼い主の帰りをひたすら待ちわびている。飼い主と一緒に水浴びをして、餌を食べ、遊ぶのを何よりの楽しみとしている。朝の餌変えの時間しか放鳥タイムがないなんて、手乗りの意味がないではないか!

巣作り行動も、私には止められない。放鳥タイム、彼らのお気に入りの場所は本棚の最上段だ。文鳥たちは、ウサギのところへ出かけては、牧草を失敬してくる。それを相方で見せ合ったり、飼い主に自慢したりしては、本棚へと運んで行く。

先生は、性ホルモン(エストロジェン)異常はメスだけの問題ではなく、オスにも起こり得る事、光周期の乱れがホルモン異常を引き起こす事などを説明し、ついには“キサントーマ”などという病名まで飛び出した。
(それって、ただのおデブじゃないってこと?)

とにかく、1時間でも早く寝かせるようにと申し渡されて、診察は終了した。






ここがお気に入り
しかし、就寝時間を1時間やそこら早くしたところで、やせるのか?

しかも、保温の必要な時期以外は消灯時に鳥かごのカバーを外し、カーテン越しではあるものの朝日が当たるようにしてあった。冬場はお日様同様、飼い主の起床も遅いので問題ないはずだ。
日没から飼い主の帰宅までは、文鳥たちは寝ている。

就寝を早めることは肥満防止にはなるかもしれないが、それでやせることはないと思った。


しかし、とりあえずは、獣医さんの指示に従い、放鳥タイムを削減し、1時間就寝を早めた。文鳥たちは覆いの下で、いつまでもブチブチ文句を言っていたが、数日後にはおとなしく寝るようになった。

家で体重を測ると、チェリーは35gあった。1g単位で計測するキッチンスケールだが、値がふれて、一瞬ではあるが36gを表示することさえあった。さらに、太っていくような気がして怖かった。

チェリーの摂食行動を観察すると、餌を食べに来る回数が明らかにヤッピーよりも多い。シードの食べ方に偏りはない。どの粒もおいしそうに食べている。いろいろなものをあげるものだから、どれもおいしくて、たくさん食べすぎちゃうのかなと思った。

肥満の原因は単なる食べすぎか、さもなくばホルモン異常などの病気しかない。いずれにせよ、この太っている状態は放置できない。もし、病気なら、治療も必要なはずだ。しかし、この調子では、この病院では解決策を打ち出してもらえそうになかった。

ヤッピーのメガバクテリア症の件もあり、以前診ていただいた鳥専門病院への転院を決意した。





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